肥料の種類とあげ方🌱家庭菜園

肥料とは

肥料とは、植物を生育させるための栄養分として人間が施すものです。

肥料の3要素と呼ばれる成分は、窒素(N)・リン酸(P)・カリ(Kのこの3つです。

他にカルシウム、マグネシウムを加えると肥料の5大要素となります。

窒素(N)の働き

葉の緑色を良くする働きがあります。 

また各種アミノ酸、タンパク質を構成する主要な成分なので実、葉、茎、根など植物体全体の生育を促進する働きもあります。

過剰に与えると、植物体が徒長し、軟弱になるため病虫害に侵されやすくなります。

リン酸(P)の働き

開花・結実を促進したり、根の伸長、発芽や花芽のつきをよくする働きがあります。

果実の成熟や品質の向上にも役立ちます。

カリウム(K)の働き

細胞液の中でカリウムイオンとして存在し、タンパク質や炭水化物の合成・移動・蓄積など植物体内の様々な化学反応を促進する補酵素として働いていると考えられています。

また葉からの水分蒸散の調節などにも関わっており、根や茎を丈夫にし、病害虫や寒さに対する抵抗力をつけるのにも役立っています。

肥料の種類

肥料の種類は大きく分けると有機質肥料無機質肥料があります。

具体的にどんな肥料の種類があるのかご説明します。

有機質肥料

有機肥料は大きく分けて、植物由来のものと動物由来のものがあります。

この有機肥料は、土の中の微生物に分解されてから植物の根がこの栄養素を吸収できるため、基本的にゆっくり効果が表れ、長く持続する緩効性の肥料です。

肥料の3要素を含みますが、種類により3要素の含有量が違ってきます。

微生物により分解される働きから土壌改良にも効果があり、土をふかふかにし団粒構造を促します。

有機肥料の代表的なものをあげると以下のようなものがあります。

①油粕類窒素緩効性肥料
②魚粉類窒素とリン酸中間のような肥料
③骨粉質類リン酸緩効性肥料
④発酵鶏糞3要素速効性肥料
⑤草木灰カリウム速効性肥料
⑥有機肥料(混合)3要素緩効性肥料

油粕類(主に窒素)

菜種や大豆などの油を搾った後の、搾りかすから作った肥料です。

肥料成分はチッ素、リン酸、カリをそれぞれ約5%、2%、1%ずつ含んでいます。

リン酸とカリも多少含んでいますが、主に窒素の含有量の多い有機肥料です。

土壌の微生物を増やし、土壌の団粒化を促す土壌改良剤としても優れた肥料です。

施しても3週間くらいは効果が出ず、ゆっくり効果が持続する緩効性肥料のため元肥として使用される有機肥料です。

油粕は、トウモロコシやスイカの甘みをアップさせることが良く知られています。

その他にも、ナスやオクラを大きくしたり、ハクサイなどの結球率を上げたりという働きがあるそうです。

魚粉類(主に窒素とリン酸)

魚の水分と脂肪分を抜いて作られた魚かすの肥料は、窒素とリン酸を多く含んでいます

肥料成分はチッ素、リン酸、カリをそれぞれ約7%、7%、0%ずつ含んでいます。

ゆっくり効いていく有機肥料と早くよく効く化成肥料のちょうど中間のような肥料です。
そのため、元肥としても、追肥としても使われることがあります

原料が魚なので、土の表面に魚粉類が出ていると鳥や小動物、虫の餌となってしまうため、必ず土の中にしっかりと混ぜ込みましょう。

魚粉を使うと、野菜のうまみが高まると言われています。植物がアミノ酸という形でチッ素成分を吸収すると、アミノ酸合成のためのエネルギーが節約できます。よって、糖分の消費が少なくて済むので、うまみが高くなるといわれているそうです。

骨粉質類(主にリン酸)

骨を砕いたもので、豚や鶏の骨を高温処理し、乾燥させ、粉砕した肥料になります。

主にリン酸を多く含む肥料です。

大きな花や果実をたくさん実らせ、作物の甘みをアップさせるのにおすすめの肥料です。

骨粉だけを肥料として与えるのはバランスが悪いので、ほかの肥料と組み合わせて使うようにしましょう。

ゆっくり効果が表れる緩効性肥料のため、元肥に使われます。

発酵鶏糞(3要素)

鶏の糞を発酵させたものです。

鶏糞には、特にリン酸が多く含まれています。さらに、窒素やカリも豊富に含まれています。根や葉の生長に関しては化学肥料と同程度の効果が期待できるでしょう。

鶏糞には、カルシウムが豊富に含まれています。石灰が全体の約17%・pHは8.9で、一般的な堆肥の推奨値(8.5以下)と比較して、若干高いのが特徴です。pHの値が、少しアルカリ寄りになります。

速効性肥料のため、元肥にも追肥にも使用できます。

鶏の糞なので、臭いは少し臭いです。

草木灰(主にカリウム)

原料は、草や木を燃やしてできた灰です。

主にカリウムを含みます。

草木灰に含まれるカリウムは、根や茎を丈夫に育てる成分です。病害虫や寒さに強くなります。

草木灰だけを肥料として与えるのはバランスが悪いので、ほかの肥料と組み合わせて使うようにしましょう。

草木灰はアルカリ性です。酸性土壌を中和する効果があります。苦土石灰や石灰に比べて、土が硬くなりにくいのも魅力です。

速効性肥料のため、元肥にも追肥にも使用できます。

バランスよく混合された有機肥料

形状は、粉末・ペレット状・粒状などの種類があります。

数種類の有機肥料が配合された肥料なので、偏りのないバランスのとれた施肥が可能です。

ゆっくり効果が表れる緩効性肥料のため、元肥に使われます。

土によく混ぜ込んで使用しましょう。

無機質肥料(化成肥料)

一般的に無機質肥料というよりも、一般的に化成肥料といわれることの方が多いです。

化成肥料の原料は、自然界に存在する鉱物から生成されています。

有機肥料と違い、化成肥料が水に溶けることにより根が吸収するので、すぐに効果が表れる速効性の肥料です。

化成肥料の代表的なものをあげると以下のようなものがあります。

①硫安・尿素窒素速効性肥料
②過リン酸石灰リン酸速効性肥料
③硫酸カリウムカリウム速効性肥料
④化成肥料(混合)3要素速効性肥料

硫安・尿素(窒素)

窒素のみを含む単肥で、水に溶けやすく速効性肥料です。

窒素しか含まれていないため、他の肥料と合わせて使用します。

この硫安を施すときの注意事項として、消石灰や苦土石灰などの石灰を含む物と同時に混ぜ合わせると窒素を含むアンモニアが発生し、窒素分を消失してしまいます。
同時に施すことのないように注意しましょう。

石灰と投入するときは硫安を入れる1~2週間前には済ませましょう。

過リン酸石灰(リン酸)

リン酸を含む単肥で、根のすぐあるところに施さなければ水に溶けると土壌中のアルミや鉄に吸着されてしまいまいます。

そのため、追肥で使用しても根まで届く前にアルミや鉄に吸着されてしますので、速効性肥料ですが、元肥向きの肥料と言われています。

過リン酸石灰が土と直接ふれないように、堆肥で包むように施すといく分か効果が長持ちするようです。

硫酸カリウム(カリウム)

速効性のあるカリ肥料です。

硫酸カリウムのカリが作物に吸収されると、硫酸が残ります。

このように、土壌を酸性にする性質があるため使用後の酸度調整には注意が必要です。

また、硫酸カリは効果が速効性のため過剰施肥になると肥焼けを起こします。

施肥量には充分注意しましょう。

バランスよく混合された化成肥料

粉末・ペレット状・粒状などの種類があります。

数種類の化成肥料が配合された速効性肥料なので、偏りのないバランスのとれた施肥が可能です。

単肥を自分で配合するよりも、配合された肥料をお使いになることをおすすめします。

肥料のあげ方

肥料のあげ方には、大きく2種類あります。

元肥(もとごえ)」と「追肥(ついひ)」といって、施す肥料分の種類も、施す場所も違ってきます。

元肥(もとごえ)

種や苗の植え付けをする前に、作物が元気に生長するために最初に与える肥料を元肥(もとごえ)といい、「窒素・リン酸・カリこの3要素を含む肥料です。

作物を育てるスタート時点で施す肥料というところから、葉を育てる窒素分を多く含みます。

ゆっくり効果のあらわれる緩効性肥料の有機肥料がよく使用されます。

基本的に、元肥のあげる場所は、畑の前面に肥料をまき、よく耕します

追肥(ついひ)

植え付け後、ほとんどの作物は元肥(もとごえ)の肥料効果が薄れてくるため、追加で肥料を施す必要があります。

この追加で施す肥料のことを追肥(ついひ)といいます。

元肥(もとごえ)と求められる効果が違うところは、生育中の作物に早急な効果が求められる点にあります。

そのため、追肥(ついひ)には速効性のある化成肥料が使用されることが多いです。

追肥を施す場所は、作物が肥料を吸収しやすい根の先に施します。

作物の根の先が、どの辺か分からない方は、目安として伸びた葉の先の真下の土にあげるとよいです。

作物によって追肥(ついひ)の必要のないものもありますので、必ず作物ごとの育て方をご確認下さい。

ボカシ肥とは

油かすや米ぬかなどの有機肥料に、土やもみがらを混ぜて発酵させて作る肥料のことをボカシ肥と言います。

土に肥料分を混ぜて薄めることからボカシと呼ばれるようになりました。

微生物に分解されるまで時間がかかることから、緩効性の肥料になります。

堆肥とは

肥料の他に「肥」という字が付くもので「堆肥」という種類があります。

堆肥とは「樹木の皮・藁・草・家畜糞」を積み重ね、微生物によって分解させ発酵したものをさします。

使用目的として、土壌改良・肥料の2つの側面を持ち合わせているので、土壌改良のために使用するのか、肥料のために投入するのか混乱してしまうかもしれません。

堆肥は、大きく分けると植物質堆肥動物質堆肥に分けることができます。

植物質堆肥

植物質堆肥は、肥料成分というよりも土壌改良効果が高いのが特徴です。

・バーク堆肥

多孔質で通気性と保水性が良いため軽く、土をふかふかにさせ、土の通気性や保水性、排水性が改善されます。

保肥力がアップする効果もあり土壌改良によく使用される資材です。

・もみ殻堆肥

もみ殻とは玄米を守っている固い殻で、通気性や水はけを良くします。

あらゆる土質の畑に向く堆肥で、特に粘土質の畑で使うと劇的に土壌改良が進みます。

完熟したものは保水性があるため、水持ちを良くすることもできます。

・腐葉土

ケヤキやコナラ、ブナなどの広葉樹の落ち葉を、土を間に挟んで積み重ね、水を加えて長期間発酵させ土状になったものです。

腐葉土というように「土」という字が付いていますが植物や作物を育てる土を改善するための堆肥の1種です。

植物の繊維分が多く含まれミネラルも豊富に含まれています。

保水性・排水性に優れ、保肥力もあり、土をふかふかにする効果に優れています。

動物質堆肥

動物質堆肥は、土壌改良というよりもどちらかというと肥料としての側面が強い堆肥です。

・牛糞堆肥(ぎゅうふんたいひ)

完熟発酵した牛糞堆肥には、有効微生物のおかげで植物が吸収しやすいよう有機物を分解してくれるため、土の 団粒化を進め良質な土壌にしてくれます。

・馬糞堆肥(ばふんたいひ)

牛糞堆肥同様、豊富な繊維分があるため、土壌の通気性や排水性、保水性が改善される性質を持っています。

・豚糞堆肥(とんぷんたいひ)

豚糞を堆積発酵させたもので肥料分を多く含み、繊維分は他のものに比べやや少なめになります。

・発酵鶏糞(はっこうけいふん)

鶏糞を堆積発酵させたもので鶏糞堆肥とも言いますが、おもに発酵鶏糞と呼ばれることの方が多いかもしれません。

堆肥というよりも化成肥料並みの速効性のある肥料です。

窒素・リン酸・カリの3要素を多く含みます。

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